全国ろうあ者卓球リーグ戦に参戦して

2016年11月17日

1. 試合について

「全国ろうあ者卓球リーグ戦」(平成28年度後期)に参戦しました。
日本ろうあ者卓球協会が主催する試合で、健常者や他の障害者、外国人も参加できます。
私は健常者ですが、「聴覚障害者に限らず、健常者や他の障害者など一般の方や聾学校にも参加を呼びかけ、なるべく同じレベルのもの同士でたくさん試合ができるようにすることで、ろうあ者の卓球の啓発、普及、親善、強化を図る」という趣旨に賛同して、参加を決めました。
試合は1部から5部までのレベル別のリーグ戦で行われました。
1部が最上位で、新規参加者は5部からスタートします。
各部はA・Bの2ブロックに分かれ、今回は1ブロック当たり7、8人でリーグ戦の試合を行いました。
そして上位2名が上の部に昇格し、下位2名が下の部に降格することになっています。
またこの試合は午前と午後に分かれていて、午前中にリーグ戦を行い、その結果を踏まえてブロックのメンバーを入れ替えたうえで、午後にもリーグ戦を行いました。
結果は次年度以降のリーグ戦に持ち越されます。
参加者は聴覚障害者のトップ選手から初級者まで幅広く、年齢層は10代から30代くらいが中心でした。
性別では、男性が7割から8割くらいを占めていました。

2. 試合の感想

私は初めて参加したので、5部のリーグで試合を行いました。
5部ということで初級レベルの人が中心でしたが、メンバーの年代が10代から30代くらいと若く、初級者とはいえしっかりボールを打つ人が多かったです。
40代の私は、ブロックのメンバーの中で断トツの最年長でした。
若い人を相手に午前中に6試合、午後に6試合、計12試合をこなしたので、体力をかなり消耗したという実感があります。
今までに参加した試合の中で、いちばんハードでタフな試合でした。
聴覚障害者と対戦するといっても、実際にすることは健常者同士の試合と何ら変わりはありません。
まったく同じです。その一方で言葉を発することがほとんどなく、身振りや指差しなどでコミュニケーションを取っていました。
競技場に聞こえていたのはプレーの音だけです。
することは同じなのに、口頭によるコミュニケーションがなくなると不思議な感じがします。
なお記録を取るために筆記用具を持っていきましたが、試合中に筆談することはありませんでした。
結果は午前のリーグが5位、午後では3位でした。
全国ろうあ者卓球リーグ戦はレベルが自分に合っていて、試合の経験を積むのにちょうどよいので、今後も都合がつけばまた参戦したいと思います。
聴覚障害者は耳が聞こえないといっても、プレーそのものは健常者と同じようにできます。
だから健常者でも初級レベルの人が実戦経験を積むうえで、私としてはぜひとも参加をお勧めしたいです。

3. 今後よりよい試合にするには

さて、この試合の趣旨をより具現化し、より多くの人が参加できるようにするために、健聴者の40代女性という立場で提案したいことが2点あります。
一つ目は、コミュニケーション手段についてです。
試合では手話が多く使われていましたが、健聴者の大半は手話がわかりません。
そこで受付や連絡事項の伝達には手話と音声を併用する、掲示物などを活用して視覚的にわかりやすくする、といった工夫があるとよいと思います。
二つ目は、中高年の女性の参加についてです。
卓球は中高年の女性の競技人口が多い一方、この試合は男女混合で、しかも参加者の大半は40歳以下でした。
40代の私が実際に参加してみて、中高年の女性には体力的にかなりきついのではないか、と感じました。
全国ろうあ者卓球リーグ戦は平成25年に始まり、参加者は年々増加しています。
そこで将来女性の参加が増えたら、男女別に試合を行ってもよいのではないかと思います。
さらに参加者が増えたら、一般男子・一般女子・シニア男子・シニア女子というように年代別に分けてもよいでしょう。
そうすれば女性、特に中高年の女性が参加しやすくなることが期待できます。

運営上の課題はいろいろとあるかもしれませんが、健常者や他の障害者も参加できるようにすることで、ろうあ者の卓球の啓発・普及を図ろうという協会の意図には大いに賛同できます。
よりよい試合、そして聴覚障害者と健常者・健聴者とのインクルージョンが実現できることを期待したいです。

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