誰のせいでもないんだけれど、ちょっとだけ、ムッとしてしまった朝

「きれいだねえ」朝、飼いイヌとの散歩中、見知らぬオジさんからそう言われました。
瞬間私はムッとなり、キッと身構えます。
この種の言葉を男性にかけられると、私は常に、こうなってしまうのです。
なぜでしょう?ホントに思います。
なぜでしょう?
感情のコントロールの方法や、潜在意識についてなど、いろいろお勉強なさっている夫に、その晩訊いてみました。
いわく。
「裏切られた感が強いんじゃない?」
む? どういうことだ?
「そういうことを云ってたくせに、けっきょく私を捨てたでしょ、ってこと」
ふむふむ。ということは?
「男友達なら平気でしょ? 楽しく飲んでるじゃん。"男"が怖いんだよ。信じてないんだよ、きっと」
なあるほど!
過去の私の失恋の多さがそうさせてる、と。
そういうことか! でも・・・・・・。
私はあなたに褒められると嬉しいよ。
私はあなたをオトコとして見てないってこと?
「なに云ってんだよ! 違うでしょ!
おまえがこの世で一番信じてるのはオレ!
オレってことだよ!」
この世で一番、などと、自分で言いきってしまう。
ある意味、やっぱりスゴイです、夫という人は。
そして私は夫の偉大さを認める、貞淑な妻!
これからも、ふたりでこうやって、
いろんなことに笑いながら、仲良く生きていこうね。
そう思った夜でした。
で、終わらせたいのですが、ちゃんと白状しておきましょう。
「きれいだねえ」のオジさんは、私の態度など介さず、あったかーい笑顔でこう続けました。
「室内で飼ってるの? キレイな毛艶だね」
誉められていたのは、飼いイヌだった、というわけです。
「あああありがとうございますう!」
と絶叫する以外、私になにができたでしょう。
そのあとギクシャク歩きながら、別の意味でムッとしてしまったのは、しかたのないことじゃないか、と我ながら思います。
でも。けれど。
ホントに厄介な性癖の持ち主だなあ、私という人間は。